構造的に、ざっくり書いてあることがとてもイメージがつきやすく、感動した。
【廃藩置県】
・藩≠県
・廃藩置県による最大の変化は、大名に代わる存在として、県や府に中央が人を送り込めるようになったということ⇒中央が地方を直接管理の意
・徳川家=大名の一部
・薩摩藩・長州藩>徳川家
・日本人というのは、一つ前例ができると、またその前例が大きいものであればあるほど、一気にそちらの方向に傾き、倒れていくという傾向がある
・日本が近代化に成功したのは、優先順位を間違えなかったから
・天皇が偉いのか、幕府が偉いのか
・「天皇は権威を与えるシステムの頂点に存在するものなのだから、その頂点を握ったものが権威そのものを握ることになる」
・自ら気づき、行動し、自分たちの社会を変えたというところが、明治維新の「すごさ」
・変わり身の早さ
【万葉仮名】
・日本は、漢字という文字だけは取り入れるが、中国語の構造は取り入れていなかった
・日本語のもつ複雑さを万葉仮名は教えてくれる
・日本人が世界に誇れるものはいくつかあると思いますが、万葉集に見えるような自然を歌い上げる美的な感受性も、その一つだと私は思います。
・日本語のニュアンスを表現するために、「やわらかい」もの―ひらがなと「カタイ」もの―カタカナ、二種類作ってしまおうというのですから、なんとも贅沢です。
・万葉仮名にニュアンスを込めたように、日本人はひらがなとカタカナの使い分けにも、文字のもつ印象を巧みに取り入れています。
・文字自体にニュアンスがあるのは、世界的にはとても珍しいこと
・「源氏物語」は、女の人の持つ繊細な感性が、ひらがなという柔らかい文字を用いることによって活かされることで生まれた、まさに傑作と言えるものです
・夏目漱石の『坊っちゃん』などは、とんでもない当て字が山ほど出てくる
・漢字というのは、それぐらい自由に使っていいものだ
・読書百遍、意自ずから通ず
・明治時代の「翻訳語」の発明は、日本が近代化をいち早く推し進める基礎を築きました。
・福沢諭吉―「権利」「権理」
・日本人は、ある時期に欧米の重要な概念のほとんどを日本語の中に取り込んでしまったのです
・近代化において最も大事なのは、鉄道の敷き方やインフラの整備といった技術の導入ではありません。本当に大切なものは、そうしたものを生み出すものの考え方、概念の導入です
・翻訳が日本語を上達させるのは、翻訳文を書くときの構造化が、論理的な日本語、複雑な日本語を書くときにとても役立つからです
【大化の改新】
・テロ事件がどうしてクローズアップされるのか
・本当の意味で、このとき実権を握ったのは、鎌足ではなかったのか
・天皇には、実務を行ってくれる人間の存在が必要だった
・「中臣鎌足がいかなったら、いまの天皇はいないのだぞ」
・権威としてのトップと、実質的なトップが併存し、実質的なトップは常に社会的にはナンバー2の地位にいたということ
・鎌足は、天皇が代替わりしても、絶対に藤原氏の権力が揺るがない方法を編み出します。天皇に、自分の娘を嫁がせるというものです
・日本というのは、実は母系社会なのです。「家」自体は父系で継いでいくので、一見すると父系社会のように見えますが、実権がナンバー2が握っているのと同じで、実際は母系のほうがはるかに強い絆を持っているのです
・「名と実を分ける」ということが行われたからこそ、天皇家はいまに至るまで絶えることなく存在し続けることができたのです
・藤原氏の作りあげた「権威としての天皇制」というものが、日本の統治機構を安定させる一つの巧妙なシステムとして機能してきたことは、紛れもない事実
【仏教伝来と日本人の精神】
・鎮護国家=「仏様」に国家を護ってもらおう
・日本になぜ早く、仏教はなじんだのか。日本における神という存在が、すでにゆるかったという事情があります。
・もう一つの原因は、日本人は、ご利益をくれるものに弱い、ということです
・日本人にとって、念仏ほど浸透した教えはありません。日本人は、契約とか戒律が苦手です
・日本人には、簡単でいい夢を見られるものを好む傾向があるので、念仏はまさにぴったりでした。
・禅はもともとインドの瞑想法。
・いまでは禅といえば日本のもの、みたいな感じになっています
・世界から見ると、禅=日本となっているのは、とてもおもしろいと思います
・いかにも日本的であると私たちが思っているものの中にも、かなりの割合で禅的なもの、もっと大きくいえば仏教的なものが入り込んでいることがわかります
・日本人は「禅マインド」の貴重さをもっと認識すべきだと思います
・宗教には、人々の無意識下にあるリビドー的なパワーを吸い上げる力があります
・仏教は、リビドーを刺激しない、世界的にも珍しい宗教なのです
・世界が認めていた日本人のよさは、精神性にありました。そして、そうした優れた精神性は、メンタル・コントロール能力を高める「仏教」と「腹腰文化」に支えられていたのです
【三世一身の法とバブル崩壊】
・小さな穴から、律令制を中心とする古代世界は崩れ去っていきます。つまり、国の土地制度を大きく変える発端となったという意味で、三世一身の法の制定は大事件だったのです
・三世一身の法は「画期的な分岐点」
・三世一身の法は「開墾者から三代までの墾田私有を認めた法律」
・欲望は日本人の中に眠っていた。それを目覚めさせてしまったのが三世一身の法
・古代社会では、「公地公民」と言って、土地はすべて天皇ただ一人のもの
・「班田収授法」が施行され、天皇の土地を慈悲をもって、国民に貸与する。感謝を込めて、天皇に収穫の一部を税として献上する。=口分田を与えた
・自分がもらった口分田は、一生耕して、死んだら天皇にお返しをする
・三世一身の法がなかったら、バブル崩壊もなかった?
・班田収授法から貧富の差が生じていた
・同じ条件の土地を平等に与えることができないのと人口増加による口分田の不足という問題が浮かび上がってくる
・三世一身の法は荒地を開墾すれば、自力の水の確保という条件付で、三代にわたって私有することができる。既にある灌漑施設を使う場合には、開墾した本人一代の所有しか認められない。
・しかし、本人一代の所有しか認められないことがほとんどなので、開墾した土地を捨て始める人が現れた
・荒廃した土地が溢れ、どうにもならないので、永年私有化を認める形で「墾田永年私財法」の制定
・モチベーションが上がり、開墾が進む。
・しかし、所有できる、自分ひとりで開墾した土地の上限を決めていなかった
・やがて、他人を労働力として使い、開墾した土地を私有する人々が現れてしまい、大土地所有者を次々に現れた
・これがのちの「荘園制度」につながる
・「荘園」領主の中から、政府とのコネクションを利用して、税金を免除してもらう権利や荘園内の調査を拒否する権利を勝ち取るものが出てきた(「不輸・不入の権」)ため、政府の税収のアップができない
・秀吉は、全国各地を征服するごとに、検地を行い、そうした複雑な土地の権利関係をすべてチャラにした
・地租改正により、一見農民が「自分の土地」を持つことができるようになった。納税責任者が、土地の所有者であるため、土地の耕作者である小作人は、地租改正により名実共に土地を失うことにもなったのです
・土地の価格が公に決まり、土地の売買が認められるようになると、土地はまた一気に金持ちのところに集まっていきました。金にものを言わせて土地を手に入れる人もいれば、政府とのコネクションをうまく使って、いい土地を大量に手に入れるものも現れた
・再び大土地所有者に集中した土地を、次に解体したのはGHQの指揮のもと行われた「農地改革」でした
・小作人もようやく自分の土地を手に入れることが出来るようになった
・しかし、いったんチャラになった大土地所有も、その後少しずつ集中していき、最近の格差の広がりによって、その集中度はさらに加速してきています
・人間の心情がいかに土地に支配されているのかよくわかります
【鎖国とクールジャパン】
・鎖国=広い意味で大名統制の一環。力をつけさせない。貿易の利益を独占する。結果的に、こもって独自性を生むきっかけとなった
・現在、世界で勝負をしている日本の文化というのは、浮世絵から始まって、現在のオタク文化に至るまで、すべて鎖国的な感性から生まれている
・日本人にとって、黒船来航は泰平の江戸時代を壊した恐ろしい存在ではなく、むしろ退屈な泰平の眠りから目覚めさせてくれた刺激的で興奮する出来事であった
・鎖国と言う閉ざされた状態が220年続き、少しずつ入ってくる海外の情報を徹底的に勉強する。その意欲がたまって、明治維新で一気にバーンと加速したのではないでしょうか。
・ワールドワイドのスタンダードというのではなくて、自国内だけ通用するような、しかもピンポイントで、突きつめているようなものが、やがて何かがはじけたときに、すごい市場価値を持つのではないでしょうか。
・いまだからこそ一人鎖国をしてみよう
【殖産興業と日本的資本主義】
・輸入というと、普通は品物を考えます。ところが、明治維新のときの日本人は、おもしろいことに、品物の輸入ではなく、システムそのものを輸入してしまったのです。
・たとえば、議会制民主主義の導入を考えたときに、日本は国のシステム全体を輸入しています
・律令制度のときにも、日本は丸ごと輸入しています。平城京や平安京といった都の造り方から、法律、政治、そして陰陽師のようなものまで、システムごと輸入しています
・渋沢栄一が日本の資本主義制度を確立した
・渋沢はそのシステムの原型を輸入し、実際の運営には日本の社会に合うよう、さまざまな工夫、つまりアレンジを加えて根付かせていったということです
・実際に欧米の植民地化を防ぐ防波堤となったのは、日本資本主義の発達だった
・この時期に行われた近代産業のの移植は、言うなれば、ヨーロッパ諸国が産業革命以降、100年掛けて行ってきたことを、10年で成し遂げようとするようなものです。そのためには、民間ではなく、情報も資本も人材も、時には権力が必要。国営工場を作ることが一番良いと判断し、「殖産興業」が起こった
・システムと職人というと、対極にあるようですが、日本はこの二本の柱によって支えられてきたのです
【占領と戦後日本】
・占領は、敗戦直後だけではなく、7年間続いた
・アメリカは戦争に勝つと分かっていたので、矢継ぎ早に準備しておいた指令を出すことができた
・日本を民主化するにあたり、あくまでも日本人が主体となって、一つひとつ手続きを踏んで民主化していった、というスタイルにしたかった
・日露戦争の奇跡の勝利で、「俺たちは強い。俺たちは列強と同じことができる」と、日本人全員が図に乗ってしまったのが、大きな間違いだったと思います
・農地改革、教育改革、財閥解体といった一連の流れを、歴史教科書では「経済の民主化」と書いていますが、アメリカが持っていた本当の目的は、「民主化」ではなく「非軍事化」だったのです
・教育改革も「上から教えを垂れる」から「じゃあ、みんあで自分の意見を言ってみよう」ということになり、この部分だけ見ると、教育改革は悪くない感じもするのですが、いま落ち着いて振り返ってみると、それまで日本が持っていたものが全否定されてしまったため、大切なものまで失ってしまった気がします
・会社の権力は、放っておくと経営者に集中していきます。だから労働者は常に闘い続けなければ、権利をどんどん手放すことになってしまいます。いまの日本社会は戦後数十年かけて築き上げてきた労働者の権利を、一気に吐き出してしまおうとしているのです
・良くも悪くも、いまの日本があるのは、占領下で大きな改革がなされた結果です。そして、大きな改革は、時代の変わり目に現れる大豪腕でなければ、絶対に成し遂げることはできません。
・結果としては、占領下で行われた改革が、日本の高度経済成長を支える大きなモチベーションのもとになったのです
・憲法問題の中でも、憲法9条の問題は特に難しい問題ですが、考える前に明らかにしておかなければならないのは、「憲法9条改正を進めて得をするのは誰か」ということです
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